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東京地方裁判所 昭和40年(ワ)7903号 判決 1968年2月27日

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は、原告の負担とする。

事実

一  当事者の求める裁判および事実関係の主張

別紙「当事者の主張の要約」と題する書面に記載のとおりである。

二  証拠関係(省略)

当事者の主張の要約

原告 被告ら

(求める裁判)   (求める裁判)

一 被告受川金太郎は原告に対し、別紙物件目録第一記載の建物(以下、本件建物という。)につき所有権移転登記手続をせよ。 主文第一、二項と同旨の判決

二 被告簾藤八郎は原告に対し、本件建物につき、同被告のためになされた

(一) 東京法務局世田谷出張所昭和三九年五月一六日受付第一三、五六七号、同年三月五日譲渡を原因とする四番所有権移転仮登記移転付記登記

(二) 同法務局出張所同年五月一六日受付第一三、五六六号、同年三月五日確定債権の譲渡を原因とする五番根抵当権登記移転付記登記

(三) 同法務局出張所同年五月一六日受付第一三、五六八号、同年三月五日譲渡を原因とする六番賃貸借設定仮登記移転付記登記 の各抹消登記手続をせよ。

三 被告笹沼清作は原告に対し、別紙物件目録第二記載の建物部分を明け渡せ。

四 訴訟費用は、被告らの負担とする。

五 第三項につき仮執行の宣言。

(請求の原因)   (請求原因に対する答弁)

一 (請求原因第一項の請求原因) (被告受川、同簾藤)

1 被告受川金太郎は、昭和三九年一月二〇日から同月三一日までの間に原告に対し、同被告が被告笹沼から代物弁済として同被告所有の本件建物の所有権の譲渡をうけることになつているから、これを原告に無償で贈与することを申込み、原告は、そのころ、右申込みを承諾して、贈与契約が締結された。 上記1の事実は否認する。

2 被告受川は、昭和四〇年六月七日、被告笹沼から代物弁済として同被告所有の本件建物の所有権の譲渡を受け、東京法務局世田谷出張所昭和四〇年七月一五日受付第二一、二四六号、同年六月七日代物弁済を原因として被告受川のため所有権移転登記がなされた。 (被告受川、同簾藤) 上記2の事実は認める。

3 よつて、原告は被告受川に対し、本件建物の所有権移転登記手続を求める。

二 (請求の趣旨第二項の請求原因)

1 被告笹沼は、本件建物につき、昭和三八年三月二二日所有権保存登記を経由し、これを所有していたところ、訴外日本橋信用金庫から金員を借用することとなり、昭和三八年五月九日、右貸金債務を担保するため、本件建物につき、債権元本極度額二〇〇万円の根抵当権設定契約および代物弁済予約契約並びに停止条件付賃貸借契約を締結し、同金庫のため、 (被告受川、同簾藤)  上記1の事実は認める。

(一) 東京法務局世田谷出張所昭和三八年五月一〇日受付第一一、八四八号根抵当権設定登記

(二) 同法務局出張所同日受付第一一、八四九号所有権移転請求権保全仮登記

(三) 同法務局出張所同日受付第一一、八五〇号賃借権設定仮登記  をそれぞれ経由した。

2 被告受川は、昭和三九年三月四日、訴外日本橋信用金庫から、右三つの契約上の権利の譲渡を受けた。 (被告受川、同簾藤) 上記2の事実は認める。

3 被告受川は、右同日、原告に対し、右三つの権利を贈与し、同被告の中間登記を省略して、右金庫から直接原告に対し、

(イ) 東京法務局世田谷出張所昭和三九年三月一〇日受付第六、三八八号、原因同月四日譲渡により五番根抵当権移転付記登記

(ロ) 同法務局出張所同月一〇日受付第六、三八九号、原因同月四日譲渡により四番所有権仮登記移転付記登記

(ハ) 同法務局出張所同月一〇日受付第六、三九〇号、原因同月四日譲渡により六番賃借権仮登記移転付記登記  をそれぞれ経由した。 (被告受川、同簾藤)  上記3のうち、訴外日本橋信用金庫から原告に対し、(イ)(ロ)(ハ)の各登記がなされていることは認めるが、その余の事実は否認する。

4 ところが、被告簾藤のため、本件建物につき請求の趣旨第二項(一)(二)(三)記載のとおり、原告から同被告に各移転付記登記が経由されている。 (被告受川、同簾藤) 上記4の事実は認める。

5 しかし、右各登記は、原告の不在中、被告受川が原告の印章を盗み出し、これを使用して、原告に贈与した前記権利を、再び原告から譲渡を受けたといつわり、昭和三九年五月一六日、被告簾藤名義に各移転付記登記をした無効のものである。 (被告受川、同簾藤) 上記5の事実は否認する。

6 よつて、原告は被告簾藤に対し、右各移転付記登記の抹消登記手続を求める。

三 (請求の趣旨第三項の請求原因)

1 被告笹沼は、その所有に係る本件建物を、昭和四〇年七月一五日、被告受川に対する債務の代物弁済として譲渡した。 (被告笹沼) 上記1の事実は否認する。

2 原告は、前掲一、1記載のとおり、被告受川から、本件建物の贈与を受け、その所有権を取得した。 (被告笹沼) 上記2の事実は否認する。

3 ところが、被告笹沼は、本件建物のうち別紙物件目録第二記載の部分を占有している。 (被告笹沼) 上記3のうち、被告笹沼が本件建物のうち別紙物件目録第三記載の建物部分を占有していることは認める。

4 よつて、原告は被告笹沼に対し、右建物部分を明渡すことを求める。

(仮定抗弁に対する答弁) (被告受川、同簾藤の仮定抗弁)

下記抗弁事実は否認する。 仮に、原告と被告受川との間に、原告主張のような各贈与契約が締結されたとしても、原告は、被告受川に妻がいることを承知しながら、同被告の妾となることを承諾し、同人と妾関係に入り、その報酬として原告主張の各贈与契約を結んだものであるから、かかる契約は、民法第九〇条所定の公の秩序、善良の風俗に反するものとして、無効である。

物件目録

第一 東京都世田谷区世田谷三丁目二、一一一番地一

家屋番号二、一一一番一一

一、木造瓦葺二階建居宅

一階  三四・七一平方メートル(一〇坪五合)

二階  三四・七一平方メートル(一〇坪五合)

第二 右建物のうち一階三四・七一平方メートル(一〇坪五合)

第三 右建物一階のうち玄関から突き当りの六帖間一三・二二平方メートル(約四坪)

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